乳歯列期とは
乳幼児は2歳頃になると乳歯がほぼ生えそろいます。この時期は、離乳食から普通食への食事の変化があり、お話も上手になっていく大事な時期です。歯並びの不正は、乳幼児の「食」および「話す」機能の成長に影響を及ぼす可能性もあります。そのため、お子様の様子や歯の状態をしっかりと見てあげてください。
乳歯の歯並びと名称
お子様にこんな癖はありませんか?
指しゃぶり
しゃぶり方やしゃぶる指にもよりますが、指しゃぶりを続けるほど歯並びや噛み合わせに影響が出てくると言われています。上あごに指を当てて指しゃぶりをしている場合、上顎の歯並びが狭くなり、前歯が突出してくる傾向があります。いわゆる「出っ歯さん」になりやすくなります。
ご家庭で気をつけるポイント
外遊びや運動で手や口を使う機会を増やして、指しゃぶりをすることに気がいかないようにしてあげてください。また、寝つく際、無意識に指しゃぶりをしてしまう場合は、寝つくまで手を握ったり、絵本を読んであげたりするなどスキンシップを積極的に図ってみてください。
3歳以降も頻繁な指しゃぶりが続く場合は、小児科医、小児歯科医および臨床心理士にご相談ください。
寝相
人間は、うつ伏せで寝ることが習慣になると、骨に大きな負担がかかります。実は骨の中は空洞になっており、ちょっとした圧力でも、長い間積み重なると簡単に骨が変形してしまうのです。たとえば、うつ伏せでいつも右頬を下にして寝るクセがある場合、下顎の骨は何時間も左側に押されている状態です。それにより下顎が左側にずれて、左右非対称な顔つきになってくることもあります。
ご家庭で気をつけるポイント
お子様の寝姿勢は定期的に確認して下さい。歯並びに限らず、今後の健康面を考えると、仰向けで寝るのが一番です。またしっかり歩けるようになるまでは、背骨をC型に保てるように、授乳時の姿勢にも気を付けましょう。
不正咬合と顎の歪みについて
不正咬合とは、上下の歯が正しく噛み合っていない状態をいいます。上下の顎の位置がずれている骨格性のものや、歯と顎のバランスが悪いことによってでこぼこや隙間が生じる歯性のものなどがあります。
乳歯列期の歯並び
乳歯列期では歯と歯の間があいている「すきっ歯」くらいがちょうど良いです。後々生えてくる永久歯は乳歯より大きいので、隙間はたくさんあったほうが良いのです。逆に、乳歯列期に隙間が一切なく、綺麗な歯並びの場合は要注意です。生え変わり期に隙間が足らずにガタガタになってくる可能性が高くなります。前歯が生え変わってくる頃に注意深く観察し、永久歯が重なって生えてくるようならば、矯正歯科医への受診をおすすめいたします。
早めに治療を始めた方が良い歯並び
不正咬合の治療は、永久歯への生え変わり期にスタートするのが一般的ですが、いくつか例外があります。まず、前歯の反対咬合(受け口)の場合、もうひとつは交差咬合(顎が横にずれている)の場合です。これらの不正咬合は、お子様の顎の成長に悪影響を与えるおそれがあるので、早期に治療をおこなうことが望ましいです。判断がつかない場合は、お気軽にご相談下さい。
反対咬合、下顎前突
交叉咬合
乳歯列期に行う矯正治療
乳歯列期の矯正治療では、取り外し可能な装置を夜間のみ使用して、子どもの負担を最小限に抑えています。1年間の治療期間を設定し、治療効果を評価しつつ、永久前歯の生えかわりまで経過観察するのが一般的です。もし改善が見られなければ、別の矯正装置への変更などを検討します。
ムーシールド
ムーシールドは、特に受け口の改善に効果的な装置です。就寝時に専用マウスピースを装着し、舌や口腔周囲筋のバランスを整えることで、反対咬合を矯正します。乳歯列期にムーシールドを用いると、顎骨の正常な成長が促されて、永久歯の健全な成長を促します。3歳からの治療が可能なので、「子どもが受け口かもしれない」と気になった段階ですぐにご相談ください。
プレオルソ
プレオルソは、小児向けの上下一体型マウスピース矯正装置です。装置の着用は自宅での1時間と睡眠中に限定されるため、子どもの負担を最小限にしつつ、口周りの筋肉と舌を強化する効果があります。
全ての歯が永久歯に生え変わる前に用いることで、健全な歯並びと口元を形成する可能性を高めます。
口呼吸から鼻呼吸への転換を促す効果が期待できるのもメリットです。何よりも、伝統的な矯正治療に先立って行うことで、将来的な治療期間の短縮や費用の節約、抜歯の回避などのメリットを得られる可能性が高まります。
乳歯列期のよくある質問
永久歯が生え始めたら
永久歯が生え始めたら、是非一度歯科医院にお越しください。
適切なタイミングで治療を受けていただければ、正しく乳歯が育つので、永久歯の生え変わりもスムーズです。本格的な矯正が必要なくなったり、抜歯をしない矯正をご提案できたりします。